2009年11月18日

ある愛の詩(アーサー・ヒラー)

(この記事は2007年6月10日に書かれました)

(ストーリー)
原題通り。ラブストーリーです。


 この映画の最後で主人公のライアン・オニールが父親に向かって「愛とは決して後悔しないこと」と言い放つシーン。あの場面を父との和解ととるか、あるいは決別ととるか、人によってその解釈が分かれるのは、結局「愛とは決して後悔しないこと」という字幕の翻訳のされ方にあるのだと思う。

 本作の原題は「Love Story」でそれを「ある愛の詩」と訳すなど、配給会社なのか翻訳家なのか知らないけど、実にセンスがあると思う。しかし名ゼリフとされている「愛とは決して後悔しないこと」は原語では「Love means never having to say you're sorry 」であり、これがアリ・マッグローがライアン・オニールの言う「I'm sorry」という謝罪に対する返答であることを考えれば、意味としては「愛する仲に『ごめん』はいらない」くらいになるはずである。アリ・マッグローは作中で2回ほどこのセリフを吐くが、どちらもやはり二人の和解を意味している。

 だから「愛とは決して後悔しないこと」は確かにかっこいいセリフだけど、しかしこれだと最後にライアン・オニールが父親に向かって「親との仲よりも愛に生きたことを後悔しない」みたいに決別を宣言した感じになってしまい、変である。しかし謝る父にこのセリフを投げかけているのだから、やはり「愛しているのなら謝らないで」くらいが適当なはずだ。

 そもそもこの映画は70年に公開されていて、ときはアメリカンニューシネマ全盛時代である。ベトナム戦争にフリーセックスにマリファナという状況で、同時期の映画といえば、『イージー・ライダー』や『真夜中のカーボーイ』。

 だから、学生としてなにやらちまちました親への反抗を示しているライアン・オニールも、弁護士としてニューヨークの高層マンションに住まうようになったとき(後半の彼は完全にヤッピーである)、結局は「若者」「反抗」という文脈から抜け出さなくてはならなかったのである。(A.I.)
posted by SIZ at 21:24| Comment(1) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
そう思います!
私と同じこと思ってる方でびっくり、そして嬉しい!
Posted by ゆか at 2012年12月28日 06:35
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。