2013年08月24日

アニメ映画『ねらわれた学園』レビュー

ようやく念願の『ねらわれた学園』を観る。
とりあえず思うのは岩井俊二かよというくらいに嫌味スレスレのキラキラ・ライティングがほどこされていて、やたら世界は木漏れ日と葉漏れ日で眩しいのだが、新海誠の描写した世界像よりずっと好ましいということだ。
これはあれだ、『耳をすませば』を観た時に似ている。

映像と音楽が共に素晴らしく、質量が豊穣で、ノスタルジーを誘うオープニングのリリシズムは、『耳をすませば』と『星を追う子ども』に匹敵する。

これはれっきとした江ノ島モノでもあり、しかも異世界ファンタジーとしての江ノ島である。
例によって権五郎神社で一悶着あり、夜には画面奥の背景で、沖の波が月明りに揺らいでる。
HDならではだろう。
灯台のサーチライトは強調され、常に舞い散る花弁は車輌内にも飛び、もはや江ノ電は銀河鉄道にしか見えない。

出てくる登場人物は好んで議論を交わし、画面には常に二つ以上のドラマが進行していく。
そこで焦点になるのは今を生きることのかけがえなさであり、つまりこのアニメの季節感溢れる風景描写は、推移する時間を全編に力動させることに費やされている。

ああ、それにしてもドングリ攻撃の場面の遊びは楽しい。

音楽は音像が分厚く雄弁で、しかも画面を吹き渡る風のように流れてやまない。
特にピアノの音にこだわりを見せていて、主要モチーフとなる『月の光』の演奏はサントラ担当が自奏しているが、数々映像で使用されてきた中でも素晴らしい演奏になっている。

ただし主題歌が余計で、ラストの余韻をぶち壊している。
(R)
posted by SIZ at 12:39| Comment(0) | TrackBack(0) | アニメ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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